スザルルSSを書きました。
一期中盤で、ルル=ゼロと疑っているスザクの独白みたいなもの。かなりシリアスです。
ちょっぴりR15な感じです。直接的な表現はないけれどそんな雰囲気。
ずっと怖かったんだ。その恐怖から逃れる為に、見ないふりをして考えてなかった。
彼の本当の心を。
もう大切なものを失いたくない。喪失に傷付きたくない。失った瞬間に心を抉られる鋭い痛みを味わいたくない。
愛すれば愛する程、失う瞬間のその傷口は大きい。どれ程の血を流すだろうか。だから、これ以上求めてはいけない。なのに、
僕はこんなにも貪欲に彼を望んでいる。
いや、望んでいるなんて可愛い言葉で片付けられない。醜く欲していると言えよう。
それを証明するように細い身体を組み敷いて、様々な感情に翻弄されながら彼の内を穿つ。それを強いものにすれば、形の良い唇から紡がれる甘い声が悲鳴じみてくるのだ。その声を聞いてやっと彼は僕のものなんだと実感する。彼だけを見て、触れて、熱を共有して、愛しているのだと。
しかし、それは一時だけのもの。
燃え盛るような熱が冷め、夜が明ければ彼は『ルルーシュ』となる。それは僕のものではない。独占できるのは熱に支配されている時のみ。
夜明けと同時に、彼をとても遠い存在に感じる。こんなにも近くにいるのに、愛してるのに。そして、ずっと背けていた疑惑が浮上してしまう。
『ルルーシュ』は『彼』なんじゃないか、と。
それを確かめればいいのに、臆病で狡い僕は失うのが、自分が彼の本当の心を知って傷付くのが怖くて顔を背ける事しか出来ない。
七年前に失ってからまたこの手にして、もう手放したくない、そう思うようになった。あの頃とは違って『愛する』という感情が生まれてしまった故に。
嫌だ、心にぽっかりと穴が空いて虚しくなるなんて。ただ虚無しかない日常なんて。
だったら聞かない方がいい。この日常が壊れて、虚無しかなくなって、愛する事も出来なくなって、傷付くくらいなら。
この静かな夜も、何も言えずに細い体躯を抱いて泥のような眠りにつく事しか出来なかった。
あと一押し勇気を出して聞けば良かったんだ。そうすれば何か変わったかもしれない。少なくとも、こんな残酷な結末にはならなかった。
ほら、だから大きな傷口が出来てしまった。小さくて済んだかもしれないのに、僕が臆病で狡いから。
嗚呼、今更何度も悔いたって意味がない。時間は決して巻き戻らないのだから。
これが後悔。大きいって言葉じゃ表せられない、とてつもない容量のものが僕にのしかかった。そして、僕を楽園とは反対へ誘う。
僕達の出逢いは、悲劇の序幕だったのか。だからこそ、最も残酷なシナリオで終幕したのだろう。
そこには、明るい未来は、楽園は、ない。
あるのは、喪失の奈落。
ここは……真っ暗だよ。
ゆく先は、楽園か、奈落か
━━━
ふと思い付いたものでした。
ルル=ゼロに気付いてからスザクはどう思っていたのかなと考えまして。
ずっと訊きたかったというより問いたかったけれど、言い出せなかった。
そうなのかな、と。
DVDマガジンでいつ頃からその疑問を抱いていたか判るらしいので、試験後に買ってみてみようと思います。
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